直近で、管理監督者についてのご相談を受けることがありましたので、比較的最近の管理監督者についての判例をざっくりとお伝えします。
判例@(管理監督者性が認められなかったもの)
自動車メーカーに勤務していた労働者の方が、自分の勤務は管理監督者にあたらないとして、会社に対して未払賃金の支払いを求めた事件です。
この方は、企画立案・実行を担う、かなり裁量権のある部署に所属しており、課長級の役職にありました。
待遇としては年収で1,200万円超、遅刻早退控除はありませんでした。
一方で、経営陣が参加し、経営に大きな影響のある会議に出席していたものの、直属の上司である、部長級の役職者の補佐に過ぎない役割でした。
裁判所は、管理監督者かどうかの判断基準として、大まかには3つのポイントを挙げています。
AとBについては、満たしているものと考えられるものの、@について、経営者と一体的な立場にあるとまでは言えないということで、管理監督者性を否定されました。
判例A(管理監督者性が認められたもの)
スポーツクラブを運営する会社で、いわゆるエリアマネージャーとして勤めていたAさんが、会社に残業代等約1,900万円を求めて提訴した事件です。
裁判所は、管理監督者性の判断について、以下の要素および、それぞれの要素についての判断を行い、Aさんを管理監督者として認定しました。
@ 職務内容が少なくとも、ある部門全体の統括的な立場にあり、部下に対する労務管理などの決定権などにつき一定の裁量権を有し、部下に対する人事考課、機密事項に接している
まとめ
管理監督者については、裁判にならない限り、100%明確な判断をすることができないため、リスクがあると分かっていながら、なかなか対応ができていないということも多いのではないでしょうか。
裁判上では、管理監督者と認められるには、それなりのハードルがありますので、リスク低減のためにも、早めに制度を見直しておくことをお勧めします。