1.育児・介護休業法の改正
出産・育児等による労働者の離職を防ぎ、希望に応じて男女ともに仕事と育児等を両立できるようにするため、育児・介護休業法が改正されます。
その改正の中でも目玉とされているのは、“男性版”産休とも言われる、「出生時育児休業」の新設です。
これは、男性の育児休業取得を促進することで夫婦が協力して子育てに取り組めるようにすることを目的とされています。
2.出生時育児休業
@ 子の出生後8週間以内に4週間まで取得可能
A 休業の申出期限については、原則として休業開始の2週間前まで可能とする(ただし、今回の改正で義務付けられる雇用環境の整備等の内容を上回る取組の実施を労使協定で定めている場合は、1か月前までとすることができます)。
B 分割して取得できる回数は2回までとする。
C 労使協定を締結している場合に限り、労働者と事業主の個別合意により、合意の範囲内で休業中に就業することが可能。
(※出生時育児休業についても雇用保険の育児休業給付金の支給対象です。)
3.現行の制度との比較
現行の育児休業制度でも、子の出産後8週間以内の男性労働者の休業は可能です。所謂パパ休暇を取得すれば、育児休業の再取得が可能になります。しかし現行の制度では原則、育児休業開始の1か月前までの休業の申し出が必要なので、あまり使い勝手が良いものではありませんでした。そのため、男性の育児休業をより使用しやすいものにするために、新たに出生時育児休業制度が設けられました。
4.その他の改正ポイント
出生時育児休業制度の新設以外にも、改正された事があります。
@ 育児休業の申出・取得を円滑にするための雇用環境の整備に関する措置を講ずること
A 本人または配偶者の妊娠・出産の申出をした労働者に対して個別の制度周知および休業の取得意向の確認のための措置を講ずること
B “通常”の育児休業を、出生時育児休業とは別に2回まで分割して取得可能とする
C 有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和(「引き続き雇用された期間が1年以上である者」という要件を廃止)
D 常時雇用する労働者が1,000人超の事業主は、育児休業等の取得の状況を公表すること
E 社会保険料免除の見直し(改正健康保険法)
・1か月内に2週間以上の育児休業を取得した場合には当該月の保険料を免除
・賞与に係る保険料については1ヵ月を超える育児休業を取得している場合に限り、免除の対象とする
※男性の家事・育児時間が長いほど、妻の継続就業や、第2子以降の出生割合が高くなるとされています。働く男性が育児休業を取得しやすい環境を整備して、2025年までに男性の育休取得率を30%に引き上げるという目標を達成したいと国は考えています。
※今回の改正で、就業規則(育児・介護休業規程)の見直しが必要になります。省令の詳細が未発表の箇所もありますが、公表されましたら随時対応させていただきます。