〜脳・心臓疾患の労災認定基準が約20年ぶりの見直しへ〜
厚生労働省の「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会」は、脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する報告書を取りまとめて公表しました。
報告書のポイントは次の通りです。
@ 業務の過重性の評価について「長期間にわたる疲労の蓄積」と「発症に近接した時期の急性の負荷」が発症に影響を及ぼすとする現行基準の考え方は妥当
A 「長期間にわたる疲労の蓄積」(「長期間の過重業務」)について、現行基準に加えて、労働時間のみで業務と発症との関連性が強いと認められる水準には至らないが、これに近い時間外労働が認められ、これに加えて一定の労働時間以外の負荷が認められるときには、 業務と発症との関連性が強いと評価できることを明示
B 労働時間以外の負荷要因として、「休日のない連続勤務」、「勤務間インターバルが短い勤務」及び「身体的負荷を伴う業務」を新たに規定し、他の負荷要因も整理
C 「発症に近接した時期の急性の負荷」(「異常な出来事」と「短期間の過重業務」)について業務と発症との関連性が強いと判断できる場合を明確化
例: 発症前おおむね1週間に継続して深夜時間帯に及ぶ時間外労働を行うなど過度の長時間労働が認められる場合
D 認定基準の対象疾病に、「重篤な心不全」を追加
厚生労働省では、この報告書を受け、速やかに脳・心臓疾患の労災認定基準を改正し、業務により脳・心臓疾患を発症された方に対して、適正な労災補償を行っていくとのことです。
脳・心臓疾患の労災認定基準の見直しは実に約20年ぶりとなります。
労災で従業員の方が亡くなってしまうケースでは、会社の責任が問われ、多額の賠償金を請求される事案も少なくありません。
特に、今回新たに基準に規定された、労働時間以外の負荷要因としての「休日のない連続勤務」、「勤務間インターバルが短い勤務」及び「身体的負荷を伴う業務」については、従来では労災とならなかったケースも労災として認められるようになる可能性があるので、注意が必要です。